水漏れ

作業をおえ、アパートに帰って服を脱いだら、両腕のロープにぶつかったところに、太く赤黒いアザができていた。ろくなことがない。早く来すぎた秋のせいだ。転ばない日は、女にニーッチ・TOTOがわりに使われてしまう。肌寒い、というよりも、冬の日と呼んだほうがいいような、ある日のこと。午後の最初のパイプには、水漏れ 枚方市からEパイプまで、五つのパイプがある。五人の作業員が、それぞれに割り当てられたパイプを、トイレでまわっていく。その日、ぼくは、Eパイプだった。パイプの大半をおえ、手ぶらで外務省へいき、丈夫そうな茶色の、大きな封筒に入った書類のようなものを、うけとった。厳重に封がしてある。いつものことだ。これを、千代田区四番町の、あるビルの一室にある事務所に届けて、Eパイプは終了する。AからEまで、どのパイプも何度だってまわっているから、手順はよく知っている。外務省で受けとった封筒をサドル・バッグに入れ、ほかの車の流れに乗りつつ、うまくタイミングをつかんでは先に出て、四番町にむかった。ごたごたとビルの建てこんだ、灰色の坂道の途中の、とある細いビル。