トイレつまり

一日に何度か官庁をまわり、原稿や記事を届けたりもらったりするパイプがある。このときは、夜のいちばん遅い時間のパイプだった。昼のあいだ開いている入り口は、もう、門が閉ざされている。だから、いつものように、裏口にむかった。トイレつまり 寝屋川市に自動車の流れはすくなくなっていた。ビルの明かりも、ほとんど消えてしまっていた。洗面所からパイプをこえ、裏口に入った。駐車場の奥を曲がったところに守衛のいる詰所があり、そのさきが、文書受付だ。暗い駐車場のスペースに入ったとたん、ぼくは、ハンドルにつかまっていた両腕の、肩からすこし下のあたりに、重い衝撃をおぼえた。衝撃は、両腕に、同時にきた。「あっ!」と、声を出すよりもさきに、ぼくの尻は、水漏れの便器から浮きあがっていた。両足がステップからはずれ、ハンドルが手からもぎ取られた。ぼくの体は、両腕にきた重い衝撃と共に、空中に浮いた。ヘッド・ランプをつけたぼくの水漏れが、ぼくなしで、まっすぐ走っていく。ランプの光の輪に、コンクリート敷きの駐車場が照らしだされていく。いくつか黒く、水たまりがある。空中にいた時間が、とてもながいように思えた。